2018年10月に採択された2018年度トヨタ財団イニシアティブプログラム「中国学の再創生」(代表:川島真)では、現在そしてこれからの日本の中国研究について考えるために、近代以来の日本の中国研究の軌跡について分野ごとに検討することにいたしました。
世界の中国研究を見渡せば、人的交流がきわめて活発ではあるものの、その研究蓄積には、それぞれの国、地域固有の知的磁場が大きく作用しています。昨今、日本の中国研究の在り方や、世界への発信の在り方などについて議論がなされますが、そもそも日本の中国研究がどのような問題意識に基づいて、どのような方法論で、何を明らかにしてきたのか、そのことを今一度振り返ることが大切だと考えます。日本の中国研究を対外的に発信する前に、まずは日本の中国研究のこれまでの軌跡を今一度振り返ることで、現在の立ち位置と今後の方向性について分野を超えて議論していくことができるものと思われます。とりわけ現代の中国に目が向きがちな状況にあって、第二次世界大戦以前においても豊富な中国研究の蓄積を有する日本は世界的にもユニークな存在であり、その現代的意義を積極的に発信することが求められています。
そこで、本プロジェクトのメンバーや各分野を代表する研究者を報告者として招き、今後1年半にわたって研究会を開催し、研究会では各報告者がそれぞれが専門とする分野について、⑴その研究領域がいかに形成されたか、⑵近代以来、その分野が何を課題として設定し、それをいかにして解決しようとしたか(方法論)、⑶その議論はどのように展開したか(研究動向)、なにが研究上の争点になってきたか、⑷これらの研究蓄積の現代的意義、⑸研究の現段階と今後の展望はどのようなものか、といった点についてご報告いただき、他分野の中国研究者とともに議論を行います。
諸先生のご協力、ご参加を心よりお願い申し上げます。