· 【活動報告】中国学の再創生(研究代表:川島真)第二期活動報告

0.概要

  2019年4月からの半年間は、同年9月14-16日におこなわれたサマーセミナーを始め比較的順調におこなわれている。
 第一に、研究主幹と事務組織を中心にウェブサイト運営をおこない、各構成員の研究活動を発信するようにした。第二に、月例研究会を4月、5月、6月、7月に行い、過去、現在の日本の中国研究のあり方、課題などを分野ごとに議論した。この第一、第二はともに今後も継続する。第三に、9月14日、15日、16日に東京大学駒場キャンパスで大学院生、若手研究者向けのサマースクールを実施し、45名を超える参加者があり、財団の協力もあって成功裏に実施できた。第四に、世界の中国研究との議論の場を設けるべく、マラヤ大学中国研究所との連絡を強化し、2020年2月(予定)に「東南アジアの中国研究」についてのシンポジウムを開催すべく準備をおこなっている。

1.会計支出

 2019年4月からの半年間は、研究組織維持、ウェブサイトなどのインフラ関係、また研究会の実施などに一定の経費を必要としたが、最も多くの支出が必要であったのは2019年9月のサマースクールであった。特に参加した大学院生、若手研究者たちの提供した(長距離に限る)交通費や宿泊費、講師謝金、会議のパンフレット作成のための印刷費などサマースクール関連の諸件に少なからぬ経費を必要とした。次の半年間は、引き続き経常経費を必要とするが、特に2020年2月に予定されている国際シンポジウムに数名のゲストを海外から招聘する予定であり、海外旅費を計上する予定である。
 なお、経理面は事務担当の川崎真美が担当している。 

2.活動状況

(1)研究体制·事務体制の維持、充実化
 本研究は、申請時の財団からのアドバイスなどを基にして、世代や専門の多様性を維持すべく、合計9名の研究主幹により構成されている(青山瑠妙、天児慧、加茂具樹、川島真、小嶋華津子、園田茂人、高原明生、中村元哉、丸川知雄)。このことは、この半年間も維持、継続している。
 また、事務体制は、川島真研究室の教務補佐員である川崎真美を本プロジェクトの事務担当者としている。この他、大学院生を東京大学のRAとして本プロジェクトの事務サポート、ウェブサイト管理を担当させている。今後、国際交流などが活発になれば、担当者を増やす可能性もあるが、目下のところこの体制を維持している。

(2)ウェブサイトの運営
 研究活動内容や情報の蓄積(アーカイブ化)、および対外発信のためにウェブサイトを運営している(http://webpark2055.sakura.ne.jp)。大学が契約しているレンタルサーバー業者を通し、2019年3月から外部公開とした。担当は主にRAの景閔(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)である。
 コンテンツは、目下のところ、本研究プロジェクトの概要、運営会議の議事録や研究会のレジュメ、サマースクールの募集、会議概要などを掲載している。プロジェクト概要や研究会レジュメは対外公開としているが、運営委員会議事録などはパスワードをかけて対外非公開としている。

(3)運営委員会の開催
 研究会の実施に合わせて研究主幹から構成される運営委員会を開催している(2019年7月のみ時間の都合上メイル審議とした)。またこの会議には記録係としてRAのうち1名が同席している。議事録は研究代表者が作成して、適宜、ウェブサイトにアップしている。

①第五回運営委員会
 日時:2019 年4月 19 日(金)12:15-12:25
 場所:東京大学東洋文化研究所会議室
 参加者:青山、天児、加茂、小嶋、園田、高原、中村、丸川、川島(記録)、景
②第六回運営委員会
 日時:2019 年5月22日(金)12:00-12:10
 場所:東京大学東洋文化研究所会議室
 参加者:青山、天児、加茂、小嶋、園田、高原、中村、丸川、川島(記録)、景
③第七回運営委員会
 日時:2019 年6月19日(水) 15:30-15:40
 場所:東京大学東洋文化研究所会議室
 参加者:青山、天児、加茂、小嶋、園田、高原、中村、丸川、川島(記録)、景
④第八回運営委員会
 日時:2019 年7月10日(水) メイル審議
 場所:メイル審議
 参加者:青山、天児、加茂、小嶋、園田、高原、中村、丸川、川島(記録)、景

(4)公開研究会の開催
 「中国の再創生」プロジェクトでは、日本の中国研究の辿ってきた軌跡を個々のディシプリンごとに振り返り、現在を位置づけ、今後の課題を考えることを主題とする研究会を実施してきている。研究会はおよそ一ヶ月に一度開催することとし、園田教授が会場を提供し、合わせて研究会の司会を担当している。研究会の概要は以下の通りである。

◎第四回研究会
 日時:2019 年4月 19 日(金)10:30-12:00
 場所:東京大学東洋文化研究所会議室
 報告者:加茂具樹(本プロジェクト研究主幹、慶應義塾大学総合政策学部)
 報告テーマ:「中国政治研究:中国共産党、リーダーシップ、政治過程」
◎第五回研究会
 日時:2019 年5月22日(金)10:30-12:00
 場所:東京大学東洋文化研究所会議室
報告者:中村元哉(本プロジェクト研究主幹、東京大学大学院総合文化研究科)
 報告テーマ:「中国近現代政治·思想史研究―研究目的をめぐる方法論の変遷
◎第六回研究会
 日時:2019 年6月19日(水) 14:30-15:30
 場所:東京大学東洋文化研究所会議室
 報告者:丸川知雄(本プロジェクト研究主幹、東京大学社会科学研究所)
 報告テーマ:「経済·技術の分野における毛沢東主義礼賛論」
◎第七回研究会
 日時:日時:2019 年7月10日(水)11:00-12:30
 場所:東京大学東洋文化研究所会議室
 報告者:伊藤亜聖(東京大学社会科学研究所)
 報告テーマ:「中国経済研究の系譜:主流と傍流、課題とインスピレーション」

 なお、この成果は東京大学出版会から刊行する方向で同出版会の内諾を得ている。また、それを踏まえ、研究報告を録音し(一部は録画)、それをテープ起こししている。

(5)大学院生向け中国研究サマースクール実施
 本研究プロジェクトの主眼の一つは若手研究者の養成にあるが、研究主幹の学生を中心にして大学院生幹事会を形成し、彼らが主導してサマースクールを2019年9月14-16日に東京大学駒場キャンパスで開催した。参加者は全国各地から45名前後、報告者は17名であった。この会議は公募の上おこなわれ、遠方からの参加者への交通費、宿泊費なども補助した。会議の模様はウェブサイトを参照されたい。
 (http://webpark2055.sakura.ne.jp/activities/activity16.html)
 なお会議実施に際しては、財団の元理事長·遠山敦子氏、また現理事長の羽田正氏からご挨拶いただくなどのご協力をいただいた。厚く御礼申し上げたい。

(6)国際交流について
 本プロジェクトの今一つの主眼は国際的ネットワークの構築にある。2019年3月、研究代表者がマラヤ大学中国研究所を訪問し、Ngeow Chow Bing所長との意見交換をおこなうなどして、日本と東南アジアの中国研究について相互に比較し、議論する機会をもつことになった。時期は2020年2月が予定されている。

(7)そのほか
 2019年9月に日本の中国史研究者が中国で拘留されるという忌まわしい事件が発生したこともあり、このことを踏まえた中国研究のあり方についても検討していく予定。

3. 次期に向けての課題

 第二期は継続的な活動のほか、9月に実施されたサマースクールに活動の重点があった。第三期は国際シンポジウムに重点を移しつつ、第四期のサマースクールや成果の取りまとめなども念頭に活動をおこなっていく。

4. 会計報告書

                                       以上